人材開発支援助成金とは?7つのコース内容と助成額をまとめて紹介!

「社員のスキルアップを図りたいけど、活用できる助成金はあるかな?」
「人材開発支援助成金は、たくさんコースがあってわかりにくい…」

このようなお悩みはありませんか?

人材開発支援助成金とは、事業主が従業員に仕事に関する訓練等を実施した場合に、訓練にかかる費用や訓練期間中の給与の一部を助成する制度です。

本記事では、人材開発支援助成金の概要から各コースの内容、助成金を利用するメリット・デメリットまでわかりやすく解説します。

これから助成金を活用して人材育成に取り組みたい方は、ぜひご一読ください。

1.人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金とは、職業能力開発計画に沿って企業の人材育成を行った場合に、その経費を助成する制度です。

IT化などによる業務環境の変化や、少子高齢化に伴う働き手不足の現代で企業が成長を続けるためには、従業員のスキル・知識を向上させる必要があります。

しかし、人材育成にはコストがかかることから、特に多くの中小企業ではなかなか教育・訓練に踏み出せない状態でした。

そこで、企業が従業員のスキルアップに注力できるよう、国が訓練や訓練中の賃金の一部などを支援する人材開発支援助成金が設けられました。

2.人材開発支援助成金の7つのコース内容

人材開発支援助成金には、以下7つの訓練コースがあります。

  1. 人材育成支援コース
  2. 教育訓練休暇等付与コース
  3. 人への投資促進コース
  4. 事業展開等リスキリング支援コース
  5. 建設労働者認定訓練コース・建設労働者技能実習コース
  6. 障害者職業能力開発コース

順に制度内容を紹介します。

(1)人材育成支援コース

人材育成支援コースは、令和5年4月より人材開発支援助成金の特定訓練コース・一般訓練コース・特別育成訓練コースの3コースを統合して創設されたコースです。

従業員が職務知識や技能を習得できるよう、計画に沿って職業訓練等を実施した場合に助成されます。

人材育成支援コースには、人材育成訓練、 認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練の3種類の訓練が設けられています。

#1:各訓練の概要

各訓練の概要は、以下のとおりです。

訓練の種類 概要
人材育成訓練
  • 仕事に関する知識・スキルを習得させるための訓練を10時間以上行った場合に助成される
  • 助成対象の訓練は、OFF-JTによる訓練
認定実習併用職業訓練
  • 中核人材を育てる目的で、厚生労働大臣の認定を受けた実習を6カ月以上2年以下行った場合に助成される
  • 助成対象の訓練は、OJTとOFF-JTを組み合わせた実習併用職業訓練
有期実習型訓練
  • 有期契約等の非正規雇用者の正社員転換を目指すために、2カ月以上訓練を行った場合に助成される
  • 助成対象の訓練は、OJTとOFF-JTを組み合わせた実習併用職業訓練

OFF-JTとは、事業活動と区別して業務の過程外で実施される訓練のことで、OJTとは企業内の事業活動の中で行われる実務的な訓練のことです。

#2:助成額・助成率

各訓練の助成額および助成率は、以下のとおりです。

出典:人材育成支援コース最新版パンフレット|厚生労働省

「賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合」とは、本助成金で定められた要件を満たす賃金または資格等手当を支払い、5か月以内に支給申請をした場合を指します。

具体的な賃金要件等については、人材育成支援コースの最新版パンフレットを参照してください。

また、人材育成支援コースの支給要件や対象者等は訓練ごとに異なるため、詳細は上記パンフレットで確認が必要です。

(2)教育訓練休暇等付与コース

教育訓練休暇等付与コースは、従業員の職業能力開発の機会を確保するために有給教育訓練等制度を導入して、実際に従業員が休暇を取得して訓練を受講した場合に助成されるコースです。

本コースには、教育訓練休暇制度、長期教育訓練休暇制度、教育訓練短時間勤務等制度の3つの助成が設けられています。

#1:各制度の概要

各制度の概要は、以下のとおりです。

制度の種類 概要
教育訓練休暇制度
  • 会社が3年間で5日以上の取得ができる有給の教育訓練休暇を導入し、従業員に適用した場合に助成
  • 対象の訓練等は、事業主以外が行う仕事に関連した教育訓練・各種検定・キャリアコンサルティング
長期教育訓練休暇制度
  • 会社が30日以上の取得ができる有給または無休の長期教育訓練休暇を導入し、従業員に適用した場合に助成
  • 対象の訓練等は事業主以外が行う教育訓練で、業務命令ではなく従業員が自発的に受講するもの
教育訓練短時間勤務等制度
  • 会社が教育訓練のために30回以上の所定労働時間の短縮と所定外労働時間の免除をする制度を導入し、従業員に1回以上適用した場合に助成
  • 対象の訓練等は、事業主以外が行う教育訓練で、業務命令ではなく従業員が自発的に受講するもの

なお、教育訓練休暇制度と長期教育訓練休暇制度で有給の教育訓練休暇を導入する場合は、労働基準法39条で規定されている年次有給休暇とは別に設ける必要があります。

#2:助成額・助成率

各制度の助成額は、以下のとおりです。

出典:教育訓練休暇等付与コースの最新版パンフレット|厚生労働省

上記の表に記載されている賃金助成は、有給休暇の取得に対する助成額で最大150日まで支給されますが、無給の長期休暇制度の場合は助成対象外です。

また、経費助成は企業単位で一度限りの支給なので、ご注意ください。

そのほか、支給要件や制度の適用ルール等は、各制度によって異なります。

詳細については、教育訓練休暇等付与コースの最新版パンフレットを参照してください。

(3)人への投資促進コース

人への投資促進コースは、これからの会社を担う人材育成を目的として従業員に職業訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。

本コースには、デジタルまたは成長分野の訓練、情報技術分野認定実習併用職業訓練、定額制訓練、自発的職業能力開発訓練、長期教育訓練休暇等制度の5つが設けられています。

#1:各訓練の概要

各訓練の概要は、以下のとおりです。

訓練の種類 概要
デジタルまたは成長分野の訓練(高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練)
  • 企業のDX推進や成長分野などでイノベーションの推進を行う人材を育成するための訓練や、大学院 での訓練を10時間以上実施した場合に助成
  • 対象はOFF-JTで、職務に関連する訓練
情報技術分野認定実習併用職業訓練
  • IT分野の未経験者を情報技術分野の即戦力に育成するための訓練を実施した場合に助成
  • 対象はOFF-JTとOJTを組み合わせた情報処理・通信技術者に関連した業務に必要となる訓練
定額制訓練
  • 従業員が柔軟に訓練の選択・実施ができるようサブスクリプション型の研修サービスを利用した場合に助成
  • 対象は業務上義務付けられ、労働時間内に実施されるOFF-JTによる事業外訓練
自発的職業能力開発訓練
  • 従業員が自発的に職業能力開発訓練を受講し、その訓練費用を企業が負担した場合に助成
  • 対象は、職務に関連した専門的な知識・技能の習得をするための事業外訓練
長期教育訓練休暇等制度
  • 従業員の自発的な職業能力開発訓練の機会を確保するための休暇制度や短時間勤務等の制度を導入した場合に助成

なお、マナー講習や接遇の方法といった職務の種類を問わず必要となるスキルを習得する訓練は、助成の対象にならないケースがあるので、ご注意ください。

#2:助成額・助成率

各制度の助成額は、以下のとおりです。

出典:人への投資促進コース|厚生労働省

上記表に記載されている括弧内の助成率や助成額は、賃金要件または資格等手当要件を満たした場合に加算される率(額)です。

また、長期教育訓練休暇制度以外の賃金助成額は1人1時間あたりの金額で、情報技術分野認定実習併用職業訓練のOJT実施助成額は、1人1訓練あたりの金額となります。

なお、要件や助成金支給の流れ等は、各訓練によって異なります。

詳細については、人への投資促進コースの最新版パンフレットを参照してください。

(4)事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業の立ち上げなどによって必要となる新たな分野の知識や、スキルを習得する訓練を実施した場合にかかる費用を助成する制度です。

本コースは、実訓練時間数が10時間以上のOFF-JTによって実施される訓練が対象となります。

また、対象訓練の助成率・助成額は、以下のとおりです。

事業展開等リスキリング支援コースの助成率・助成額

  • 経費助成…訓練経費の75%(中小企業以外の企業は60%)
  • 賃金助成(1人1時間当たり)…960円(中小企業以外の企業は480円)

そのほかの詳細な支給要件や手続きの流れなどについては、事業展開等リスキリング支援コースの最新パンフレットを参照してください。

(5)建設労働者認定訓練コース・建設労働者技能実習コース

建設事業に関する人材開発支援助成金は、建設労働者認定訓練コースと建設労働者技能実習コースがあります。

建設労働者認定訓練コースは、従業員に認定職業訓練または指導員訓練の中にある建設関連の訓練を受講させた場合にかかる費用の一部が助成されるコースです。

建設労働者技能実習コースは、従業員のスキルの向上を図る目的でキャリアに応じた技能実習や技術検定に関する講習を実施した場合にかかる費用の一部が助成されます。

各コースの助成額は以下のとおりです。

出典:建設事業主等に対する助成金のご案内|厚生労働省

上記の表に記載されている<>は、賃金要件または資格等手当要件を満たした場合の増額分です。

そのほかの詳細な支給要件などは、建設事業主等に対する助成金のご案内を参照してください。

(6)障害者職業能力開発コース

障害者職業能力開発コースは、障害者の仕事に必要な能力を開発または向上させることで、障害者雇用の促進や雇用継続を図ることを目的とする制度です。

本コースでは、障害者の教育訓練を継続的に行う施設の設置・整備を行う場合の費用や、障害者職業能力開発訓練にかかる費用が助成の対象経費となります。

本コースの助成額は以下のとおりです。

障害者職業能力開発コースの助成率

  • 障害者職業能力開発訓練を行う施設や設備を設置・整備・更新する場合
    …訓練科目ごとの施設や設備の設置・整備・更新にかかる費用の3/4
  • 障害者職業能力開発訓練を行う場合
    …以下のいずれかの金額が助成されます。
    (1)就職が特に困難であるとハローワーク所長が認める障害者の訓練を行う場合は、1人あたりの運営費の4/5
    (2)上記以外の障害者訓練を行う場合は、1人あたりの運営費の3/4
    ※(1)の障害者等が就職した場合は、上記の助成金に加えて就職者1人あたりに10万円が加算されます。

なお、助成額にはそれぞれ限度額が設けられています。

詳しい支給額の上限や支給要件などについては障害者職業能力開発コースのパンフレットを参照してください。

3.人材開発支援助成金を活用するメリットとデメリット

人材開発支援助成金を活用するメリットとデメリットを紹介します。

(1)メリット

人材開発支援助成金を活用するメリットとしては、以下があげられます。

人材開発支援助成金を活用するメリット

  • 人材育成にかかるコストを抑えられる
  • 従業員のスキル・知識・モチベーションの向上を図れる
  • 従業員の離職が減る
  • 生産性が上がる

人材開発支援助成金を活用することで、「従業員のスキルアップを図りたいけれど、コストをかけられない…」という企業でも人材育成に注力しやすくなります。

人材開発支援助成金のご案内によると、実際に助成金を活用した事業主からは「助成金のおかげで新卒の教育ができる」「従業員の定着率向上につながった」といった声があがっています。

また、訓練を受講した従業員からも「業務の幅が広がった」などの感想があり、企業と従業員の双方にメリットがある制度だといえるでしょう。

さらに、人材開発支援助成金を活用して従業員の職業能力を向上させることで、企業の生産性が上がることも期待できます。

(2)デメリット

一方で、人材開発支援助成金を活用するデメリットとしては、以下があげられます。

人材開発支援助成金を活用するデメリット

  • 確認すべき要件が多く、申請が煩雑で手間がかかる
  • 一時的に立替えの必要がある

人材開発支援助成金は前章で紹介したように多くのコースがあり、コースや訓練内容ごとに助成金の要件や申請方法が細かく決められています。

特に初めて申請する場合は、申請前の確認や申請準備に手間取るでしょう。

また、人材開発支援助成金は、訓練計画など必要書類を訓練実施の1カ月前までに提出することが多くのコースで決められており、訓練開始までに時間がかかります。

さらに、人材開発支援助成金の支給申請は訓練等を実施した後に行うため、訓練費用や賃金の立替えをしなければならないこともデメリットといえます。

まとめ

本記事では、人材開発支援助成金の概要、各コースの内容、助成金を利用するメリット・デメリットを紹介しました。

人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップを図るためにぜひ活用したい制度です。

しかし、「人材育成が大切なのはわかるけど、何から始めたらいいのかわからない」「従業員のスキルと業務に必要なスキルの差が把握できていない」と悩む企業は少なくありません。

そういった悩みを持つ事業主や人事担当の方は、ぜひMakeCareerにご相談ください。

MakeCareerは、企業と人材の成長を促進するために、従業員のキャリア開発の仕組みや体制づくりのサポートを行っています。

これから人材育成に力を入れたい企業は、お気軽にMakeCareerまでお問い合わせください。

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