【セルフキャリアドックとは】助成金は廃止?導入メリット・事例を紹介

「セルフキャリアドックを導入するメリットはなんだろう?」
「そもそも、セルフキャリアドックがどんな制度なのか知りたい」

このような疑問はありませんか?

セルフキャリアドックとは、従業員の自律的なキャリア形成を促すために、企業がキャリア研修やキャリア面談などのサポートをする取り組みのことです。

事業環境の変化が激しい現代で企業が成長し続けるためには、個々の従業員の主体的なキャリア開発の支援が重要視されており、セルフキャリアドックへの関心は高まっています。

そこで、本記事ではセルフキャリアドックの制度内容や助成金、導入するメリット、導入事例をわかりやすく紹介します。

これからセルフキャリアドックの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

1.セルフキャリアドックとは

セルフキャリアドックとは、従業員が自律的にキャリア形成を考えることができるよう、企業がキャリアコンサルティングやキャリア研修などを組み合わせて支援することを指します。

従来の人材育成支援とセルフキャリアドックの異なる点は、組織の視点のみではなく従業員の視点を重視してキャリアアップをサポートする点です。

本章では、セルフキャリアドックへの理解を深めるために、以下3点を解説します。

  1. セルフキャリアドックができた背景
  2. セルフキャリアドックの必要性
  3. セルフキャリアドック導入のプロセス

順に説明します。

(1)セルフキャリアドックができた背景

企業の活力や生産性の向上には、従業員が自主的に職務に関する知識やスキルを向上させていく必要があります。

2016年度から実施された改正職業能力開発促進法では、従業員は職業能力開発に努めると同時に、事業主側も従業員が職業能力開発ができるよう努めなければならないと規定されました。

同法が定める事業主等が講ずる従業員への職業能力開発・促進の措置の中には、「キャリアコンサルティングの機会を確保し、その他の援助を行うこと」があげられています。

セルフキャリアドックは、こういった背景の中で企業が従業員のキャリア形成やキャリアプランの実現をサポートするための具体的な施策を反映した取り組みの1つとして生まれたのです。

(2)セルフキャリアドックの必要性

セルフキャリアドックは企業の成長を促し、競争力を高めるうえで欠かせない取り組みです。

日本再興戦略改定2015」では、変革のスピードが速い時代においては、従業員一人ひとりが能力やスキルを柔軟に鍛え直していける仕組みや環境が重要であると言及されています。

国際競争の激化や技術革新、少子高齢化などによって事業環境や事業内容、業務のあり方に大幅な変化を求められている現代では、個々の従業員の能力を高めていくことが求められます。

従業員がキャリアを振り返り、身に付けるべき能力を確認する機会としてセルフキャリアドックを実施することで、これからの時代を担う「職業人としてのプロ」の育成ができるのです。

(3)セルフキャリアドックの実施プロセス

セルフキャリアドックの具体的なプロセスと実施内容は、以下のとおりです。

#1:社内環境の整備

まず、人材育成ビジョン・方針を定め、セルフキャリアドックの実施計画を策定します。

また、円滑な導入を行うために社員への周知を行い、セルフキャリアドックへの理解を深めてもらうことも大切です。

そのほか、セルフキャリアドックで使用する面談シートや全体報告書といったツールの準備なども行います。

#2:キャリアコンサルタントの確保

つぎにキャリアコンサルティングを担当する社内キャリアコンサルタント、または社外キャリアコンサルタントを確保します。

社内の人材、社外の人材のいずれにしても、キャリアコンサルタントの公的資格を持っている人を担当者にすることが原則です。

ただし、人事部門等での勤務経験が長く、従業員からの信頼が厚い社員がいる場合は、事前の研修等を受けることでキャリア面談の担当者にすることができます。

#3:セルフキャリアドックの実施

準備ができたら、セルフキャリアドックを実施します。

具体的には、セルフキャリアドックの対象社員に集団形式でキャリア研修を行った後に、社員とキャリアコンサルタントが一対一でキャリア面談を行うことが一般的です。

キャリア面談では、職務で経験や知識、スキル、働く上で大切にしていることなどを整理し、企業から求められる役割や責任を確認したうえでキャリアビジョンを策定していきます。

#4:フォローアップ

セルフキャリアドックを実施した後は、キャリアコンサルタントから社員全員のキャリア意識や企業の課題、課題の解決策などの報告が行われます。

組織の課題や従業員の課題を把握し、改善策を検討・実施していきます。

また、定期的に従業員の状況を確認してセルフキャリアドックの効果をチェックすることや実施内容の見直しを行うといった、継続的な取り組みの改善をしていくことも重要です。

上記のプロセスは標準的なモデルなので、企業の事情や状況に合わせて変更ができます。

2.セルフキャリアドックの助成金廃止について

厚生労働省が支援している労働者の人材育成・スキルアップを促進するための助成金は、定期的に改定が行われています。

セルフキャリアドックに関する助成金については、もともと人材開発支援助成金のキャリア形成支援制度導入コースに設けられていましたが、平成30年の改正によって廃止されました。

さらに、人材開発支援助成金の大幅な見直しによって、令和4年度からはセルフキャリアドック制度の導入によって助成金を上乗せする措置も廃止となりました。

このようにセルフキャリアドックの助成金は廃止されましたが、人材開発支援施策ではセルフキャリアドック導入支援が行われており、セルフキャリアドックの推進は続いています。

3.セルフキャリアドックを導入するメリット

セルフキャリアドックの導入によって、社員のキャリアに対する意識を高め、企業の成長を促す効果が期待されます。

本章では、セルフキャリアドックを導入することのメリットを社員側と企業側に分けて紹介します。

(1)社員側のメリット

社員側のメリットとしては、以下があげられます。

セルフキャリアドックを実施する社員側のメリット

  • 自身や仕事への理解が深まる
  • キャリアプランが明確になる
  • キャリアプランを実現するための行動がわかる
  • 業務効率改善につながる
  • 仕事に対するモチベーションが向上する

セルフキャリアドックの「ドック」は、人間ドックの「ドック」と同義です。

つまり、健康診断のように定期的に専門家の支援を受けることで、自身のキャリアを見つめる機会が得られ、今後のキャリアプランが明確化します。

また、キャリア面談では、キャリアプランを実現するための行動や業務課題の解決策の提案もあるため、モチベーションが上がり、仕事への満足度も向上するでしょう。

(2)企業側のメリット

企業側のメリットとしては、以下があげられます。

セルフキャリアドックを実施する企業側のメリット

  • 離職率を低下させる効果がある
  • 休業者の復帰支援になる
  • 人的課題が顕在化される
  • 社員の主体性の向上
  • 生産性が向上するなど

企業側のメリットは、社員一人ひとりの能力を引き出すことで企業の成長を促進させることです。

キャリア研修やキャリアコンサルティングは、社員の立場によって、以下のような効果が期待できます。

セルフキャリアドックで期待できる効果

  • 新卒採用者…仕事への向き合い方やキャリアパスの明示によって、「長く働きたい」気持ちを高める
  • 出産・育児・介護による休業者…仕事と家庭の両立を支援するための課題解決案を提示することで、職場復帰しやすくする
  • 中堅社員…社員自身の知識や経験、能力を発揮するために必要なことを話すことで、モチベーションが向上する

このように、社員の自律的なキャリア意識の高まりから業務改善策が行われ、それが離職率の低下や生産性の向上、競争力の強化につながると考えられます。

4.セルフキャリアドック導入事例

実際にセルフキャリアドックを試行導入した事例を厚生労働省の「セルフ・キャリアドック普及拡大加速化事業 好事例集」より、2つ紹介します。

(1)DIC 株式会社

化学工業製品の開発・製造・販売を行うDIC 株式会社は、早期退職者やメンタル疾患を抱える社員、高年齢層社員の増加によって企業の活力が低下してしていることが課題でした。

そこで、社員個人のキャリア開発による組織活性化と業績向上を図るセルフキャリアドックの導入試行に踏み切りました。

同社が行った実施内容は、ガイダンスセミナー、キャリアコンサルティング面談、人事担当者へのフィードバックです。

セルフキャリアドックを受けた社員からは、「自身のキャリアを整理できて今後を考えることができた」「前向きな気持ちになれた」といった声があがっています。

同社は、試行導入を経て「セルフキャリアドックは社員と会社がウィンウィンになる仕組み」と理解し、今後制度を作り込んだうえで本導入をする意向です。

(2)株式会社ジオネクスト

情報処理サービスを展開する株式会社ジオネクストは、低迷する経営状態改善の一環として、当事者意識の高い社員を増やす目的でセルフキャリアドックの試行導入を行いました。

具体的には、グループワークを取り入れたガイダンスセミナー、キャリアコンサルティング面談、人事担当者へのフィードバックを実施しました。

セルフキャリアドックの導入効果としては、1回の実施でも特に若い社員は意識の変化があったことです。

面談では、社員から仕事での悩みや希望に加えて具体的な業務解決策が出たことで、社員の仕事に対する思いや考えを人事担当者が把握する機会にもなりました。

また、研修を受けた管理職の中から、部下の内面部分に注意を向ける管理職が出てきたことも、大きな変化のようです。

一概にセルフキャリアドックの効果とは言い切れませんが、試行導入後半年で生産性の向上も見られ、同社では今後も継続的に実施できるよう環境を整えていく考えを示しています。

5.セルフキャリアドックを導入するならMakeCareerへ!

「セルフキャリアドックの重要性はわかったけれど、導入するためには何からすればいいんだろう…」という企業様は、ぜひ MakeCareerにご相談ください。

MakeCareerでは、企業様向けの人材支援サービスとしてセルフキャリアドックの導入支援を行っています。

国家資格を持つキャリアコンサルタントが企業のビジネス課題や人材育成上の課題に最適な施策を提案し、効果的なセルフキャリアドックの実施をサポートします。

また、「実施計画の策定やセルフキャリアドックで必要となるツールの準備などは自社で対応して、社員面談だけお願いしたい」といったご依頼も大歓迎です。

社員面談では一人ひとりの強みや弱み、仕事への考えを整理して、キャリア開発に関するビジョンの策定や目標の実現に向けたアクションプランの実行を促します。

社員の活力を引き出し、会社の成長につなげるセルフキャリアドックの導入を検討されている企業様は、お気軽に MakeCareerまでお問い合わせください。

まとめ

本記事では、セルフキャリアドックの制度内容や助成金、導入するメリット、導入事例を紹介しました。

IT化の進展、国際競争の激化、少子高齢化の加速などによる変化の激しい時代で企業が成長し続けるためには、社員の自律的なキャリア開発およびキャリア意識の向上が求められます。

セルフキャリアドックに対する助成金は廃止されましたが、引き続きセルフキャリアドックの導入支援は行われており、その導入効果からセルフキャリアドックの重要性は高まっています。

とはいえ、これからセルフキャリアドックの導入を検討される場合、「自社に最適な施策はなんだろう」「何から手を付けたらいいのかわからない」と不安を感じるでしょう。

また、社内にキャリアコンサルタントの有資格者が在籍していないことから、キャリア面談の担当者がいないといったケースも少なくありません。

初めてセルフキャリアドックを導入したい企業様はもちろん、現在のセルフキャリアドックを改善したい企業様もぜひ MakeCareerにご相談ください。

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