キャリア面談とは?効果的な面談に必要な準備やテクニックを紹介
「キャリア面談を指示されたけど、キャリア面談ってなんだろう…」
「キャリア面談を効率的にしたいけれども、どんな方法があるんだろうか」
このようなお悩みはありませんか?
テレワーク導入など急速に働き方が変わり、社員一人ひとりの働き方やキャリアへの考え方が変わってきています。
一方で、社員との有効的なコミュニケーションができておらず、社員の離職や成長がうまくできないのではないでしょうか。
この記事では、キャリア面談を成功させるためのコツや準備を詳しく紹介します。
キャリア面談を効率的に成功させたいと思っている企業の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.キャリア面談とは
キャリア面談とは、社員一人ひとりが持つ中長期的なキャリアビジョンの実現に向けて上司と話し合い、現状の改善や成長に繋げるための面談です。
特に近年、人材不足が叫ばれている中で転職市場は活性化しており、”社員の離職”は大きな課題となっています。
離職率を下げ優秀な社員を確保しておくために様々なアプローチが行われていますが、キャリア面談もその取り組みのひとつです。
キャリア面談により、社員自身に自己を見つめ直す機会を与え、上司や企業と共有することで、社員個人に対する具体的なアドバイスやサポートを行うことができます。
その結果、社員自らが気付き、成長やモチベーション向上のきっかけになるものです。
社員・企業ともにメリットの大きい取り組みのため、今キャリア面談を導入する企業が増えています。
2.キャリア面談を行う目的
キャリア面談を行う目的は、大きく分けて以下の3つです。
- 社員が持つ課題や悩みを明確化すること
- 上司、企業のアドバイスやサポートにより社員の成長を促すこと
- 社員自身が考え気付き、将来像をイメージし、目指すこと
社員の成長や意欲を引き出すために、社員・上司・企業が一体となり、社員自身に気付きを促すためのキッカケをつくります。
そのためには、社員自らが抱えている課題や悩みを明確にすること、それを考え気付き、今後のキャリアビジョンやプランを具体的にイメージすることが大事です。
キャリア面談において、社員は”主役”であり、いわば”サポート役”が上司としての役割です。
なぜキャリア面談が必要なのか
現代における雇用形態の多様化が理由として挙げられます。
これまでの日本は、正社員として一度就職すると、終身雇用や年功序列による決まったキャリアパスを辿ることが一般的でした。つまり、社員自らがキャリアを築くというよりも、キャリアは企業がつくるものという考えがありました。
その中で近年、グローバル社会での競争に対応するべく雇用形態が多様化したことによって、自身の価値を高めるため、自らがキャリア形成を行う重要性が高まりました。
企業としても、単に人を集めて囲い続けるのではなく、社員が成長しながらキャリアパスを描けるようサポートを行うこと、その上で優秀な社員を確保し離職率を下げることが強く求められるようになってきたのです。
3.キャリア面談で得られるメリット
キャリア面談は、社員・企業ともに大きなメリットを得ることができます。
具体的には以下のとおりです。
社員側の効果
- 自分自身のキャリアイメージが明確化する
- 抱える不安や不満を解消できる可能性がある
- 社員の帰属意識やモチベーションが向上する
- 将来像の実現に向け、自己研鑽に励むようになる
企業側の効果
- 社員一人ひとりの特性や将来像を知ることができる
- 優秀な人材や向上心の高い社員が明確になる
- 企業の抱える問題や不満が浮き彫りになる
- 社員の定着率の向上に繋がる
- 社内の活性化や生産性の向上が期待できる
このように、社員にとってはその企業で働く意義を見出し活力が生まれ、企業にとっては社員の生産性向上と離職率の低下に期待ができる、双方にとってもメリットのある取り組みです。
また、キャリア面談を行っていることを対外的にアピールできれば、社員のキャリア形成に積極的な企業であると印象付けることができます。
優秀な人材が自社に興味を示してくれるキッカケとなる、副次的なメリットも生まれます。
4.キャリア面談の準備
社員一人ひとりと効率的にキャリア面談を行うためには準備がとても大切です。
ここでは、準備しなければならないものや心構えについてご紹介します。
(1)キャリア面談シートの作成
キャリア面談をするためにはあらかじめ「キャリア面談シート」を用意して、対象社員に記入をしてもらいましょう。
面談シートに用意しておくとよい項目は以下のとおりです。
過去の振り返り
- 担当した業務・仕事
- 成果をあげた業務・仕事
- やりがいを感じた業務・仕事
現在の職務について
- 担当している業務・仕事
- 今やるべき業務・仕事
- 直近の目標(中長期的なものではなく)
今後について
- 興味や感心のある業務・仕事
- 自分の強みと生かしたい業務・仕事
- 将来的に目指す自分像
- そのために必要なスキル・資格等
相談ごと
- 今悩んでいること・困っていること
- 伝えておきたいこと
- 人間関係について
面談をスムーズに進める為には、事前に自分自身のキャリアや特性を棚卸ししてもらうことが重要です。
上記項目をA4の紙一枚に書ける負担にならない程度の量で準備しておいてもらいましょう。
(2)キャリア面談の方法を検討する
キャリア面談の目的や得られる成果、そのための具体的な進め方などを、上司と共有し、時に模擬面談を行いながら確認します。
特にキャリア面談は30分~1時間程度で行われることが多く、限られた時間で社員の自己成長を促す必要があります。
「何のための面談なのか」はもちろんですが、面談を効率的に進められるよう、十分に検証と確認を行い、効果的なキャリア面談を行えるよう方法を検討しましょう。
また、厚生労働省が毎年「グッドキャリア企業アワード」という表彰を行っています。
これは、社員の自律的なキャリア形成の支援について、他の模範となる取り組みを行っている企業を表彰し、その理念や取り組み、効果を広く発信するためのものです。
表彰された企業の好事例集なども公表されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
(3)個人に合った面談内容を考える
キャリア面談は面接のように決まった項目だけではなく、社員の特性に合わせて行う必要があります。
つまり、面談の内容や進め方は社員それぞれで異なって当然、というものです。
社員は面談シートに沿って準備をしてきますが、上司としても事前に、その社員のこれまでの働き方について思っている事・感じている事や、今後求めるスキル・役割など、一人ひとりの特性についてまとめておきます。
社員のキャリア形成を支援することは、上司の重要な仕事・役割です。
社員自身の気付きを引き出すために一緒に考えることができるよう、あらかじめ社員一人ひとりに合わせた面談内容を考えておきましょう。
5.キャリア面談のテクニックと進め方
キャリア面談の主役はあくまでも社員であることを忘れてはいけません。
社員自身が主体的に話ができるためには、互いの信頼関係も非常に重要です。
社員からするとキャリア面談という場ではどうしても一歩引いてしまう傾向にあるため、本音で話をしてもらえれば、社員自身に響く効果的なアドバイスが行えます。
そこで、キャリア面談を行う際には以下のような進め方・テクニックを押さえておきましょう。
適切な対応を行うことで自然と話しやすい環境・打ち解けた雰囲気が作られ、面談の場における信頼関係を築くことに繋がります。
(1)環境・雰囲気づくり
思ったままに話ができる環境を整えることが大切です。
オフィス内ではなく会議室や面談室といった個室で、じっくりと話し合える環境を用意することも一つの手です。
さらに、いきなり本題から入るのではなく、軽い雑談から入ると気持ちも少しリラックスします。
社員が萎縮せずに話せるような雰囲気をつくることが重要です。
(2)面談の態度・姿勢
社員の話を聴く態度・姿勢によっても、信頼関係は大きく左右されます。
まず、足や腕を組んだりすると威圧感を与えてしまうこともあるので、威圧的な態度になっていないかを注意しましょう。
また、あれこれ言いたくなる気持ちを堪え、しっかりと話を聞きましょう。
社員の考えが企業側の期待と違ったり話す内容に思うことがあっても、ぐっと我慢し、社員が何を考えているかをじっくり引き出す姿勢をとりましょう。
そのためには、社員のいい所や活躍したシーンを具体的に伝えながら進めると効果的です。
その上で、キャリア面談シートと合わせて深掘りしていきましょう。
また、面談を行う上での心構え・姿勢について、ここでご紹介したいのが『ロジャーズの3原則』です。
ロジャーズの3原則
アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズが提唱した、傾聴における3条件です。
■共感的理解
相手の立場に立って物事を考えること。自分の主観や先入観を捨て、相手の考え方を共有し理解することを意味します。
■無条件の肯定的配慮
相手を自分と等しく尊重し、異なる意見や価値観を受け入れること。『無条件の』とあるように、相手の考えなどの一部ではなく全部を受け入れ、相手に最大限の関心を向けます。
■自己一致
自分自身のありのままを受け止め、認めること。相手との話の中で分からないことがあれば素直に認めて聴き直すなど、相手を理解するために常に真摯な態度で望むことです。
これらはカウンセリングの大原則として知られており、キャリア面談だけではなく、普段のビジネスシーンでも活かせるものです。
すぐに身に付けることは難しいかも知れませんが、意識して取り組んでみてください。
(3)課題解決に向けたアドバイス
社員の話の中で気がかりな点があれば、質問によって深掘りし、適度にアドバイスをします。
このとき、社員の話す内容を自分の言葉で言い直し、あらためて社員に投げかけると、本人も気付かなかったことに気付けることがあります。
ただし、否定や指導をするようなことは避け、社員の意見を尊重するよう心がけてください。
また、話を聞くうちに現状の問題点や今後のキャリアプランに向けて解決策が分かったとしても、それをすぐに提案しないようにしましょう。
キャリア面談では『社員自らが気付く』ことがもっとも重要です。
社員自身、抱えている問題や課題に向き合い、どうしていきたいかを考えて自ら解決策を導き出しましょう。
そのため、上司はサポート的にアドバイスを行うことに徹しましょう。
6.キャリア面談後のフォローも重要
キャリア面談後のフォローも忘れてはいけません。
キャリア面談を終えたところが、本当のスタートです。
面談の内容を活かしてどう成長していくか、どうすればよいかを社員自らが考え、上司はそれをサポートしていかなければなりません。
決して短期的ではなく長期的な目線で見守るようにしましょう。
また、社員の希望する業務や部署への配置転換、チャレンジしたい分野に携わらせるなど、キャリアプランに応じたチャンスを作ってあげましょう。
今後のキャリアに関わる大きな転機となる可能性も秘めています。
まとめ
キャリア面談は単なる相談ではなく、社員の今後のキャリア、人生をも左右する非常に重要な取り組みです。
雇用形態が多様化する現代、ひとりひとりがスキルアップに研鑽し、個々を高めることが、グローバルな競争社会において企業が生き抜く唯一の方法です。
そして、そうした人材の「キャリアアップへの希望」や「成長の機会」を見逃さないためにも、定期的な面談を通じ、社員のキャリア形成を、上司と企業も一丸となって支えていく必要があります。
しかし、「キャリア面談を効率的にしたいけれども、どんな方法があるんだろうか」と悩む企業は少なくありません。
そういった悩みを持つ事業主や人事担当の方は、ぜひMakeCareerにご相談ください。
MakeCareerは、企業と人材の成長を促進するために、従業員のキャリア開発の仕組みや体制づくりのサポートを行っています。
これから人材育成に力を入れたい企業は、お気軽にMakeCareerまでお問い合わせください。
この記事の監修者
キャリアコンサルタント
兵庫 直樹
国家資格キャリアコンサルタント。大手外資系ホテル勤務を経て、15年に亘り、マネジメント業務に従事。 その中で人材関連に興味を持ち、キャリアコンサルタントを取得し人材業界へ。その後、持ち前のコミュニケーション能力と資格を生かし、ハローワークにて就業支援に従事してきた異例の経歴!