重要度MAX!キャリアコンサルティングの社会的意義①~キャリアコンサルタント増産計画
目次
Ⅰ キャリアコンサルティングの社会的意義①
1 社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
こちらはキャリアコンサルタントがなぜ必要となったのか
その時代背景です!
試験科目の細目にはこのように書かれています。
細目
社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性が増していることに関し、
次に掲げる事項について詳細な知識を有すること。
① 技術革新の急速な進展等様々な社会・経済的な変化に伴い、個人が主体的に自らの希望や適性・能力に応じて、
生涯を通じたキャリア形成を行うことの重要性と、そのための支援の必要性が増してきたこと。
ぶっちゃけ上の細目を理解するのが1番大事!
結局いろいろあって今たいへんだから
みんな将来をちゃんと考えようってこと?
そう!それさえ知ってればあとは
そのいろいろを理解しよう!
この分野で大切なことは流れを把握すること。
いじわるな問題が多いです。例えば
第15回より
問 18 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(内閣府、平成 19 年 12 月)で 定められている「仕事と社会の調和が実現した社会の姿」に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1.就労による経済的自立が可能な社会
2.子供が環境に順応しながら生きていける力を身につけることができる社会
3.多様な働き方・生き方が選択できる社会
4.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
正解は2
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章をすべて覚える必要はありません。
ワークライフバランスの文言に子供が環境に順応は明らかに別物。
私生活と仕事のバランスをとるためには金銭的な余裕と多様な働き方や自分の時間を確保できる社会が必要ですよね。
全てを暗記する必要はありません!
また第14回より
問1 「第 10 次職業能力開発基本計画」(厚生労働省、平成 28 年 4 月)で述べられた、
職業能力開発をめぐる今後の方向性や施策の展開に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。・生産性向上に向けた人材育成の強化
・企業における人材育成投資の促進
・IT 分野に関する職業訓練の推進
・セルフ・キャリアドックの導入の推進1.1 つ
2.2 つ
3.3 つ
4.4 つ
これも「第 10 次職業能力開発基本計画」を暗記する必要はありません。
これは「第10次」ではなく「第9次」でしたー
なんていじわるはしないので国が定めた方針としてあっているものを把握していればOK
正解は4
どんな時代背景で個人のキャリアの形成が必要になってきたのか、
その時代のなかでキャリア形成をするには何が必要なのかを知っていれば答えられます。
では
・そもそもキャリアコンサルティングとは。
キャリアコンサルティング=
「キャリアコンサルティング」とは労働者の職業の選択、職業生活設計
または職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを言う
(職業能力開発促進法第二条5)
これは大事だよ!
あくまで相談にのって助言と指導をすること!
命令するとか禁止するとかはダメだし、
相談があってこそのキャリアコンサルタント!
キャリアコンサルティングを行うものをキャリアコンサルタントと定義されています。
・なぜキャリコンサルティングが必要なのか?
上記のキャリアコンサルティングの定義が出たのが、厚生労働省が2001年に策定した「第7次職業能力開発基本計画」。
翌年にはキャリアコンサルタント5年間5万人養成計画をかかげ、
2014年には「キャリアコンサルタント養成計画」にて
2024年までに10万人のキャリアコンサルタントの養成目標をかかげました。
初めは民間資格としてスタートしましたが
職業能力開発促進法の改正により2016年から国家資格となり登録制度がスタート
意外と最近なんだ、、、
うん!ち。
海外ではキャリアの考えは広まってたけど、
日本は終身雇用だったから将来について考える必要なかったんだ
では順を追って歴史を振り返りましょう!
正確な年号や名称を暗記する必要はありません。流れをしっかりつかむことが大切です。
- ・1955~1974年
- いわゆる高度経済成長期の時代に日本はGNP世界第2位の経済大国になりました。
※GNP=国民総生産
高度経済成長を支えたのは終身雇用・年功序列
新卒を大量に採用して勤続年数を重ねるごとに徐々に賃金が上がっていく
今はだいぶ減ってきておりますが聞いたことはあるのではないでしょうか。
若い人の人口が多く、豊富な労働力が確保できた時代です。
労働者にとっても就職したら将来が約束され、転職など考えもしない。
会社に従えばいいため、自分のキャリアについて主体的に考える必要はありません。
- ・1973年
- 第一次オイルショックで日本経済は大きな打撃を受けて高度経済成長期は終わりました。
が、しかしここからも日本は伸びます!
- ・1980年代後半~1990年代初頭
- バブルと言われる時代です。
土地・株も実際の価値からかけ離れて跳ね上がり、日本人みんなが浮かれる羨ましい時代。
ですが、そんなバブルも長くは続きません
- ・1990年代初頭
- バブル崩壊→失われた20年に突入
バブルがはじけると今まで浮かれていた人たちはみんな現実に戻されます。
※経済的な問題について知りたい人は別途質問してください。
ここではキャリアコンサルタントに必要な知識のみ記載しております。
- さてついに低成長の時代に突入しました。
1990年代初頭から「失われた20年」がスタートしたということは
キャリアコンサルティングが定義された2001年は「失われた20年」のさなかです。
低成長の時代になるとリストラが起こります。
年功序列で能力のない社員を抱えることが難しくなります。
アメリカ式の成果主義を取り入れて年齢ではなく成果で評価する企業が増えてきます。
その中で就職氷河期と言われる就職難の時代も訪れました。
終身雇用の維持が難しくなり自身のキャリア形成を会社に任せられない。
自らキャリア形成を考えなければいけない時代の到来です。
個人の主体的な能力開発の支援・キャリア教育の推進をかかげ
国が国民にたいしてキャリアについて考えるように勧めるようになりました。
実際なにがどう変わったのでしょうか
長々と書いてあったけど
結局、不景気で国も企業も将来の約束できないから
個人でなんとかしろってこと?
まーそんなかんじ!
非正規雇用者の増加
非正規雇用者とはパート・アルバイト・派遣社員・請負労働者・契約社員など。
ようは正社員以外です。
経営が苦しくなった企業は正社員を大量に抱える余裕がなくなったことが原因です。
さて、ここで一度非正規雇用者について深堀しましょう。
非正規雇用者には2種類あります。
・自分から望んで正社員になりたくない人。
・正社員になりたいけどなれない人(不本意非正規)
不本意で非正規雇用者になっている人は25~34歳の若年層で最も多くなっています。
では非正規雇用者が増えると何が問題なのでしょうか?
それは格差です
2007年に放送された「派遣の品格」というドラマを見たことは有りますか?
歴史をたどってきましたが、格差の問題は今・現在の問題です。
非正規雇用では昇給も賞与も退職金もなく生涯賃金が正社員より低い。
また、短期雇用を前提としているため安定しません。
そして、昇給させる必要のない非正規には重要な仕事は回ってこずスキルも上がらない。
いつまでたっても正社員になれなくなってしまいます。
人口構成の変化
変わったのは人口構成もです。
「少子高齢化」若手社員が多かった高度経済成長期とくらべ子供が減り続けています。
よく見るこの図。
15~64歳を生産年齢人口と呼びます。
要は働く年齢の人口です。65歳以上を高齢者と呼びます。
こちらも歴史を追ってみてみましょう。
戦後間もない1947年~1949年は第一次ベビーブーム世代・団塊の世代と呼び急速に子供が生まれました。
その団塊の世代が社会人になって働いて高度経済成長期が加速します。
さらにその団塊の世代の子供が生まれた第2次ベビーブーム・団塊ジュニアにてさらに人口は増えます!
ただ、第三次・第四次とは続かず、、そこから人口は減少していきます。
少子高齢化は何をもたらすのでしょうか?
歴史の年号とかは問題にならないけど、
背景を理解しておくことで理解が深まるよ!
少子高齢化の影響
一つは社会保障制度が財政を悪化させること。
働けない高齢者が増えたら年金や医療費や介護にかかるお金がたくさんかかります。
そのお金は働いている生産年齢の人が負担すること世代間扶助によって成り立ち若年層の負担が増えたことが世代間格差をもたらしました。
そして平成30年時点での
平均寿命は男性は約81歳、女性は約87歳。
長生きできるようになれば、より負担は重くなります。
ただ、元気でいられる時間も長くなるので定年の引き上げや継続雇用制度、再就職支援等も整えられてきました。
働きたい高齢者が増えたら問題は職の受け皿。
60歳を65歳を超えて働く意欲があっても仕事を用意できるかが今後の課題です。
現在では60代後半でも半数近く、70代前半でも3分の1程度働いています。
2025年には全人口の18%が75歳以上。働き口の確保は急務となりそうです。
産業構造の変化
高度経済成長期の日本を支えたのは石油化学や自動車・電気機器です。
そのあと1980年代には半導体産業。
1990年代後半からはIT産業が主流に移り変わってきました。
ものづくり大国
日本は「ものづくり大国」とよばれ製造業が活発でした。
製造業が活発になるということは経済にとって良いことがたくさん。
物を作る→運ぶ→売る
の循環で運輸やサービス業も潤います。
しかし、それも昔の話。
現在では製造業は人件費の安い外国に取られてしまいました。
昔は物をひたすら作れば売れていた。
今は急速に技術が発達して、グローバル化が進み常に新しい知識や技術がなければ生き残れない。
このような変化の速い状況で「今のままではいけない」、
という考えが初めて生まれキャリアについて多くの人が考え始めました。
実際に第9次職業能力開発基本計画では「成長が見込まれる分野の人材育成と雇用のセーフティネットの強化」が唱えられました。
成長が見込まれる分野はITです。
第10次職業能力開発基本計画ではIT分野に関する職業訓練の推進が唱えられています。
「今まではなんとかなってきたけど、
ここから先このままじゃいけないよね」って話です。
個人個人に危機感はまだなくても国は危機感を抱いています。
今回のキャリアコンサルタントや職業訓練のインフラ構築・職業訓練指導員の育成などにより
生産性を向上させるために人材育成の戦略を立てています。
もちろん国がワーワー騒いだだけでは大きく変わりません。
企業が人材育成に投資することも求めており、国・企業全体が合わさって時代の波に取り残されないようにしている。
そのための一つがキャリアコンサルタントです。
働き方の多様化
急速な変化は働き方も変える
終身雇用が難しくなった今!我々は一つの会社で定年まで働くことは少ないでしょう。
転職が当たり前になり、キャリアについて考えなければいけない。
そうなると色んな人生・色んな働き方が生まれてきます
フレックスタイム
従業員が出退勤時間を自由に決められる制度。
もちろん完全に自由ではありません。一定のルールを定めることが多いです。
特にコアタイム制を設けている企業は多いでしょう。
コアタイム制とは一日のなかで必ず全員が勤務していなければいけない時間(コアタイム)を設けること。
いくら自由に働いてOKであっても深夜に勤務されたら業務に支障が生じたりもしますよね。
例えば午後1時~午後3時をコアタイムに設定すると
早朝~午後3時や午後1時~午後9時など自分に合った働き方を選べるようになります。
テレワーク
最近よく聞く言葉ですね。
自宅やサテライトオフィスなど会社以外の場所で働く勤務体系のこと。
家で働くことが許されるのであれば育児や介護をしていても安心。
通勤が困難な障碍者の雇用にもつながります。
テレワークは会社以外の場所で働くこと
自宅だけじゃなくてサテライトオフィスとか
他の場所であればテレワークって言うよ
ワークライフバランス
私生活も大事にしよう!っといった動きです。
仕事と私生活のバランスを考えることもキャリアの上では欠かせない考えになっています。
ワークライフバランス
私生活も大事にしよう!っといった動きです。
仕事と私生活のバランスを考えることもキャリアの上では欠かせない考えになっています。
ワークシェアリング
1970年代にヨーロッパで生まれた働き方で、一人の仕事の時間を減らして複数の人で分担する働き方。
より多くの雇用が生まれます。
もし先々AIが発展して、多くの仕事をAIがやってくれるようになり人間がやる仕事が減ったら
このように働く時間をみんなで分配することもあるかもしれないですね。
ヨーロッパでは日本より先にキャリアについての
考えが浸透していたんだね!
また、「リカレント教育」
なるものも重視されています。
リカレント教育とは社会人になった後も学校などの教育機関に戻って学習し、再び社会に戻ること。
人生100年時代。もはや一つのスキルだけでは生き残れないので学びなおすことが推奨されます。
ただ、平成30年の調査によるとまだまだ20%未満と普及には遠いのが現状です。
リカレント教育は最重要ワード!
しかしこのような自由な働き方が出来るのはごく一部だけ。
・高級だけど長時間労働
・低賃金だけど時間は有る
の2極化がどんどん進んでしまっています。
女性の社会進出問題
いま、また盛んに議題に上がっている女性の差別問題。
戦前までの日本では女性は低い地位におかれて参政権もありませんでした。
戦後、初めて参政権が認められましたが、そこからまだまだ社会進出が十分にできているとは言えない状況です。
高度経済成長期には仕事のある都市部に人口が集中しました。
じゃー高度経済成長期でやっと女性も働けるようになったのかな?
いや、それは逆で女性の就業率はさらにさがったんだ
実際は女性の就業率はここでまた下がります。
核家族と言われる夫婦のみ、もしくは夫婦とその子供の世帯が増えました。
要は田舎のおじいちゃん・おばあちゃんと一緒に暮らさなくなったのです。
そうなると余計に女性の社会進出は遅れます。
女性のおおくは専業主婦になり家を守らなきゃいけない、
だっておじいちゃん・おばあちゃんがいないから家事をしなければいけないから。
高度経済成長期というと女性もガンガン働いてそうですがむしろ逆で女性の就業率は下がりました。
その後は上昇しておりますが2018年時点で女性の就業率は約51%。
男性は約69%と比べると男女平等にまではまだ遠い数値です。
えっでも思ったより変わらない
就業率よりも問題は非正規雇用者が圧倒的に多いんだ
問題は女性の雇用者のうち非正規雇用者が56.1%と高いこと(男性は22.2%)
産後休暇・育児休暇のあとに正社員として戻れないがために高くなっております。
引用 男女共同参画局 https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-03.html
上記のようにM字カーブを描いており、結婚適齢期である年齢で一度退職する人が多いです。
そのあとは非正規社員としてしか仕事ができなく格差が生まれる、、、
時代がすすみ、変化が激しくなった中で日本の労働もおおきく変わってきました。
少子高齢化・技術の進歩・グローバル化様々な観点から個人が変わらなくてはいけない時代。
そんな中キャリアコンサルタントが必要となってきた。というお話でした!
次に続きます!
この記事の監修者
キャリアコンサルタント
兵庫 直樹
国家資格キャリアコンサルタント。大手外資系ホテル勤務を経て、15年に亘り、マネジメント業務に従事。 その中で人材関連に興味を持ち、キャリアコンサルタントを取得し人材業界へ。その後、持ち前のコミュニケーション能力と資格を生かし、ハローワークにて就業支援に従事してきた異例の経歴!